山本憲卓 "KUCHA"
山本憲卓さんの「KUCHA」をご紹介したいと思います。
山本憲卓 (やまもと のりたか)
三重県生まれ
沖縄県立芸術大学 修了
大嶺實清氏に師事
読谷村にて「ヤマモト工房」設立
山本さんの作品はお皿、カップ、花器など生活に寄り添うアイテムの他に「KUCHA」を原料としたオブジェがあります。このオブジェが面白くて SOUTH STORE ではお取り扱いしています。
"KUCHA (クチャ)"
沖縄でしか採れない天然素材のクチャを原料に灯油窯で焼成したオブジェ。
クチャは沖縄の方言で「泥岩」のこと。長年沖縄の海に堆積した粘土状の土です。
クチャそのものに含まれている成分、炎の力によって、様々な表情を魅せる。一点一点それぞれが唯一無二の存在であり、自然に生み出されたような力強さや美しさが感じられます。
クチャはものすごい粒子が細かいため水に入れると溶け出し泥状になる。カルシウムやミネラルなどを豊富に含んでおり美容では泥パックとしても流通されています。
そのクチャを原料に成形し還元焼成します。
還元焼成とは作品が酸素 (空気) と触れないようにしたり、作品中の酸素を奪い取らせるようにする焼き方です。
上の写真はクチャを焼くための入れ物 (陶器) 。これも山本さんが作っているもので、1つのオブジェを完成させるために2つの器を作っていることになります。クチャのオブジェはとても労力のかかる作品です。
幸運にも取材した日は窯出しに立ち会えることができました。
年明けに那覇文化芸術劇場なはーとで行われる展示会に出品する作品を焼いているとのことで、普段作っている片手で持てるサイズのオブジェとは違い、山本さんの窯で焼ける最大幅の大物を作っていました。
展示会前なので全貌はお見せできませんが、貴重な窯出しの様子でした。
上の写真は重さが10キロぐらいあるんじゃないかという陶板をクチャが焼成によって持ち上げている様子。その自然の力を山本さんとても嬉しそうに話してくれたのが印象的でした。
上の写真のように、つるっとした泥の表情や沖縄の海岸に見られるゴツゴツとした琉球石灰岩のような表情もクチャです。クチャの採れる場所、焼成する時間や場所によってもクチャの魅せる表情が様々。経験豊富な山本さんでもイメージ通りに仕上げるのは難しいそうです。
山本さんクチャを焼く度に新しい発見があるようで、まるで自然との対話に夢中になっているようでした。今後も山本さんが魅せるクチャの表情に期待せずにはいられません。
今回ご紹介したクチャのオブジェはオンラインストアからお求めいただけます。
どのオブジェも1点1点表情に個性があるので是非じっくりとご覧ください。